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胸郭:硬くて柔らかくなければならない

胸郭とは

胸郭は胸を支える
一群の骨の組合わさったものです。

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胸郭を形作る骨の種類

背骨(脊椎)の胸の部分に
あたる胸椎肋骨(アバラ骨)
そして、
胸の真っ正面の真ん前にある
胸骨柄胸骨~肋軟骨で構成されてます。

胸郭の役割

胸郭の役割は大きく分けて次の3つがあるとされています。

  • 柔らかい内臓を守る
  • 肺を支えるテントの骨組み
  • 呼吸を助ける

1:柔らかい内臓を守る

真上から胸郭の断面図を見ると後ろ側の胸椎(背骨)から肋骨が始まり、脇の方へ身体を囲むようにグルッと回り込み肋軟骨を介して真ん前にある前に胸骨~胸骨柄までつながっています。

つまり、
胸の真ん中にある肺や心臓といった大切な臓器を取り囲むように“胸郭”の骨が存在しているのです。

これは、
柔らかい心臓や肺を硬い骨で取り囲むようにして守っているのだと考えることが出来ます。このことは、私達の「からだ」の実感としても納得出来ることではないでしょうか?


硬式野球のボールなどでキャッチボールをしている時に
捕球し損ねて胸板の真ん中へボールをぶつけてしまった。
その時、しばらく呼吸がちゃんと出来なかった。
もし、胸郭が柔らかいものであったら・・・と思うと・・・

2:肺を支えるテントの骨組み

けれども、
胸郭”の役割はそれだけではありません。もっと積極的な役割も果たしています。

肺は風船のように小さく縮む

なんとなく不思議な気もしますが、肺は自力で膨らんだり縮んだりすることは出来ません。膨らんだり縮んだりするのは胸郭とそれに付着する横隔膜や肋間筋といった筋肉の動きに助けられておこなっているのです。肺自体には筋肉はありません。手術などで実際に取り出すと、空気の抜けた風船のような小さく縮んでしまいます。

胸郭はテントの骨組みように肺が拡がる空間を確保している

この弾力性はあるが自力では伸び縮み出来ない風船のような肺が、縮んでしまわないように拡げて形を保っているのが胸郭です。いわばテントの骨組みのような役割を果たしているのです。(テントのように外から幕を被せるような支え方ではありませんが・・・正確には、肺は内張りとでも言うほうが近い状態です。)

3:呼吸を助ける

けれども、胸郭は内臓を守り、肺をテントのように支えているだけで充分な訳ではありません。胸郭の役割を果たすには、息を吸ったり吐いたりするのを助ける必要があります。

胸郭は伸び縮みする

呼吸をするには胸郭が動く必要があります。正確には、胸郭に付着した筋肉が伸び縮みして、胸郭の作りだす空間のサイズを変えます。このことによって、肺を膨らませたり縮ませたりして息をさせるのです。
胸郭のサイズが小さくなると、中の風船である肺は縮んで息を吐き出します。
胸郭のサイズが大きくなると、中の風船である肺は膨らんで息を吸い込みます。
この胸郭の伸び縮みする能力を担保しているのが、胸郭を構成する骨と骨の間にある関節です。胸肋関節、肋横関節といった沢山の関節たちです。これら関節の一つ一つの動きはそれほど大きくないのですが、胸郭全体で同調して動くことで、全体として大きく膨らんだり縮んだり出来るのです。

矛盾した役割を担わされた胸郭!!

胸郭の役割1~3を突き合わせて、よくよく考えると、少し矛盾した要求が胸郭になされていることがわかります。

1と2は、ガッチリとした強度を求めています。

対して、
3は、伸びたり縮んだり出来る柔軟性を求めています。

私たちの身体は、この矛盾しがちな要求を、両方のバランスが取れる中間的な位置に胸郭を置くことによって満たしています。
つまり、

【胸郭はしっかりとした丈夫さを保ちつつ、同時に柔らかくなければならない】

のです。

このことはとても危ういバランスの上に成り立っていることだと私は思います。恐らく身体の中には、いつも2つの力がせめぎあっています。胸郭を柔くして息を楽にしようとする力と硬くして内臓を守ろうとする力です。この2つ力が拮抗していて、ほどほどバランスに落ち着いているのだと思います。

なので、何かのキッカケがあると、どちらかに傾いていってしまう傾向があるだと思うのです。

パニック障害過換気にはこの傾向が見え隠れします。漏斗胸鳩胸なんかも、この力のバランスがジワジワと崩れていく様が形として見えるようになったものだと言えるかもしれません。一番ごく普通に見られるものは、運動不足や緊張から胸郭を硬く固めて使う方向へバランスを崩してしまったものです。

私たちの身体は緊張した時や姿勢維持のために胸郭を固めて使うモードを持っています。反対にリラックスしたり、身体を動かす時には胸郭を弛めて胸郭を柔らかく使うモードに入りこみます。本来はこの両方のモードを行ったり来たりしながらバランスを取っているのですが、運動不足や緊張が続くと胸郭が固まって硬くなる方向へ傾いていきます。運動不足になりがちな年配者やデスクワークが多い事務系の仕事についてる人に多く見られます。

私はこの胸が硬く固まってしまった状態を【胸が鎧】と呼んでいます。

【胸が鎧】の周りで発生する「気血」の淀み

胸郭が硬くなると、アバラ骨の間にある筋肉まで硬まってきます。すると、硬くなった筋肉と胸郭が合わさって一枚板のような状態になってしまいます。この板状になった胸郭は、血液やリンパといった流れを遮断する壁のように働いてしまいます。せき止められた血液やリンパは、その役割を果たせなくなるだけでなく害をなすものへと変質してしまいます。そして、それらの滞留物は将来の病の種として時間の経過と伴に増えていくことになります。将来の心臓疾患や肺疾患などの火種となっていくことになります。東洋医学的な言葉で、置き換えてみれば、血瘀、瘀血、水邪、痰飲、湿痰、湿邪などと呼ばれる内邪の類いです。アバラ骨の間などをゆっくり丁寧に探っていくとブヨーとした感触や張りつめたようなパーンとした感触などとして観察出来ます。

【胸が鎧】状態は心肺の働きを狂わせる

胸の中に納まる心臓と肺は全身へ血液と伴に栄養や酸素を送り届ける大切な内臓です。心臓や肺がほんの数分、その働きを休んでしまうだけで大変なことになることからその大切さはすぐにわかると思います。また、心肺は身体の状態に合わせて、送り出す血液の量を絶えず調整しています。身体を動かす時は沢山、安静時には少なくという風に。つまり、心臓と肺はその時その時の身体の要求に合わせて、生死にかかわるような血液を送り出すその量を刻一刻と微調整しているのです。これはとても重大なことをかなり繊細な手つきで行っているということです。
胸郭が硬くなるとこの重大で難しい仕事に狂いが生まれやすくなります。硬さのせいで、送り出したつもりの血液や酸素の量が実際とは違ってしまうためかもしれません。戻ってくる血液の量を見誤ってしまうためなのかもしれません。なんにしても、【胸が鎧】状態では、全身に見合った血液の供給量と違う所でバランスしがちになってしまいます。これが、高血圧や低血圧、動悸や息切れなどの一因となっています。
胸郭自体も心肺からの血液の供給を受けて、その役割を果たしていることを考えると、ここにもグルグル回る悪循環が出来やすいことがわかります。

未病が溜まりやすい胸郭

このように、胸郭は難しい重大な仕事を担うために精密にできあがっています。その分、少しの狂いから負担を溜めやすく、将来の病の火種を抱えやすい場所です。この将来の火種を東洋医学では、“未病”といいます。つまり、

胸郭は“未病”が溜まりやすい所

なのです。そして、この火種=未病を減らしていくには、胸郭を柔らかく柔軟性がある状態にしておく必要があるのです。

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