正のフィードバック/負のフィードバック

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正のフィードバック/負のフィードバック

フィードバック(feedback)

フィードバック(feedback)とは、

【出力(結果)を入力(原因)側に指し戻す操作のこと】

だそうです。

抽象的すぎてわからないので、
ひとつ例をあげてみます。

コピー機があると想像してみてください。

このコピー機を80パーセントの縮小の設定をかけて
ゾウの絵をコピーします。

すると、
縦横がそれぞれ80パーセントに
縮んだゾウの絵がコピーされて出てきます。

この縮んだゾウのコピーを
もう一度、コピー機の複写面において
設定をそのままにしてコピーをすると、
さらに80パーセント
縮んだゾウの絵がコピーされて出てきます。

つまり、
2回目にコピーされたゾウの絵は

0.8 × 0.8 = 0.64

64パーセント縮小された絵になって出てきます。

この80パーセント縮小したゾウの絵を
コピー機の複写面においてコピーすることを
‟フィードバック”というのです。

80パーセント縮小のゾウの絵のコピー(出力)を
80パーセント縮小設定のコピー機(入力)に
戻すということになるからです。

正のフィードバック/負のフィードバック

さて、
この80パーセント縮小のコピーを
何度も繰り返していくと
段々と
ゾウの絵は小さくなっていきます。
この段々と
小さくなっていく操作を
‟負のフィードバック”といいます。

反対に
小さなアリの絵を1.1倍の拡大を
繰り返していくと
大きなアリの絵が出来てきます。
この大きくなっていく操作を
‟正のフィードバック”といいます。

フィードバックという言葉の拡がり

もともとは、
物を作ったり操作したりする時などの
人間が行うことに関わる言葉だったのですが
現在は意味が拡がり
自然現象や
勝手にそうなってしまっているものに対しても
使われるようになっています。

人間の身体の中の
ホルモン調整機能の説明や
自然界での動物が増えすぎが止まる仕組みなどなど
を説明したりするときに使われます。

システム工学から
はじまり、
経済学や社会学
心理学や生理学
そして、
気象学や生態学
などなど

この‟正のフィードバック/負のフィードバック”
という言葉は
現在、そして、これから、
ますます重要になってくる言葉だろうと
私は思います。

‟フィードバック”というものの見方が大切な時代

時代認識としてはこんな感じです。ちょっとおおまかすぎて
強引な感じですが、

 

戦後~高度成長期

戦後~昭和高度成長期は、

【原因→結果】

ということを考えて
一つ先の目先だけを考えて
がむしゃらにガンバったり
行動すれば良かった。

グルッと一回りしてくる
スピードが遅いことが多く、
その先の影響まで
気付かなかったのです。

気付いていたとしても、
現実に自分に影響が
跳ね返ってくるまで、
だいぶ時間があった。
見て見ぬふりを
しようと思えば
結構、それが出来たのです。

つまり、
【原因→結果】
ということだけ
気にしていれば生きていけた。

現在:高速で我が身に舞い戻ってくる時代

それに対して、

現在、
私たちの社会は
ものすごいスピードで
物やお金、情報を動かしています。

その結果、
自分が行った行動や
気付かないうちに自然にふるまった行いが
短時間で自ら自分に跳ね返ってきます。

グルッとまわって
影響を受けてしまうことに
沢山出くわすようになってしまったのです。

社会や情報伝達の
スピードが速くなったために、
そのことが、
ハッキリと自覚される時代に
なってしまったのだと思います。

二酸化炭素の排出についても
株式の投資についても
物価の低迷についても
自分の血圧や血糖値の上下についても
この正/負のフィードバックを通じて
自分の行動や振る舞いが
こういったことと
無縁ではいられないことを
感じざるえなくなってしまっているのです。

 

正/負のフィードバックは価値観とは関係ない

ところで、
工学的には、
この正や負ということには
善し悪しという価値判断は
含まれていません。

注目したものが単に
増えていっている/減っていっているのかを
指し示しているだけです。

ただそうなるんだという
事実認識を述べたものです。

だから、
正のフィードバックだから
良い循環で
負のフィードバックだから
悪い循環だ
ーというわけではありません。

例を上げてみます。

職場で部下に
イライラをぶつける

部下にイライラが
たまる

仕事の生産性が
下がる

職場の成績が
下がる

自分のイライラが
さらに増える

再び、部下に
イライラをぶつける

繰り返し

ごくごく
ありふれた風景ですね。

これは、
一般的に言って悪いことされると思います。

けれども、
“自分のイライラ”に
焦点を合わせると
増えていっているので
これは

“正のフィードバック”

ということになります。

反対に
‟負のフィードバック”でも
私達、人間にとって良いことも
沢山あります。

このように、
正/負のフィードバックは
私達の価値観とは無縁です。

正/負のフィードバックを好/悪循環に変えるもの

 

私達の身体の仕組みにも
沢山のフィードバックが
働いています。

私達の身体と社会や自然との間にも
沢山のフィードバックが
働いています。

私達が直接タッチできそうな
良し/悪しや善/悪と
違う基準で
勝手に回り続けるようにみえる
正/負のフィードバック

回ってきた時には
何倍もの力になって
私達を振り回します。

この循環の渦の中に
生きていて
原因をやっつければ
全てうまくいくとは
安易に思えない
―そう感じてしまいます。

目先の 善/悪、良し/悪い から一旦離れよう

けれども、
何も出来ないわけではありません。

まず、目先の良し悪しから
一旦離れて
循環じたいを
よくよくみることです。

そして、
循環全体を見渡しながら
これは良いことなのか
悪いことなのかを
判断していくことです。

悪いフィードバックなら
循環の断ち切りやすいポイントを
狙って断つことことを考えます。
正であれ負であれ、
断ち切りやすいポイントを
探すことが大切です。

良いフィードバックが
うまく働いていないと考えるなら
どこを助ければ
その循環が回り出すのかを
考えます。
ボトルネックになって
良い循環をせき止めて
いるポイントがあるはずです。

 

一旦離れた所からもう一度、好し/悪し を決める

ある循環が
‟良い循環”であるのか
‟悪い循環”であるのかを
決めるのは
私達の価値観でしかありません。

そして、
ある正のフィードバックを
悪循環だと思い
それを断ち切るべきだというのは
価値観からしか出てきません。

ある負のフィードバックが
好循環だと思い
それを助けるべきだと判断するのは
価値観でしかありません。

目の前の良し/悪しから
一歩ひいた時に
戻ってきて
確かめる価値観は
自ら感じる「からだ」からしか
出てこないのだと思います。

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