操体とは:体操?整体?のようなもの?

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体操・操体・整体系の用語体操・整体・操体・ストレッチ
体操・操体・整体系の用語

橋本敬三と操体

操体法”というのは
橋本敬三(1897~1993)という昭和に活躍したお医者さんが
提唱した健康法です。

もともと
“操体法”は息・食・動・想といった
人間の生活全般にわたる健康法なのですが、
体を動かす“動の操体”が有名になり、
現在では“操体”と聞くと、
ちょっと変わった体操のようなもの
思い出されることが多いようです。

当院でも“操体”というと
この体操のようなもののことを
指してもっぱら使っています。

以後、
特に断りがなければ、
ここでも“操体”と書けば
体操のようなものを指して使いたいと思います。

操体とは

一応定義してみる

“操体”とは一体どんな方法なのでしょうか?

動きの中に現れる“気持ち良い”という
 感触を頼りに「からだ」を動かして、
眠っている自己回復力
 自然治癒力を引き出す方法

と私なりに仮定義しておきます。

かみ砕いてみる

この仮定義だけでは
何をすればよいか全くわかりませんね。
ちょっとかみ砕いてみます。

手順

まず、手順というか方法を箇条書きしてみます。

  1. 楽になる姿勢を探す
  2. 楽な姿勢から“気持ち良い”動きをさがす
  3. 動かすラインのイメージをしっかり固める
  4. 見つけた“気持ち良い”ラインを“気持ち良く”動かす(縮める)
  5. ラインを縮めた状態で“気持ち良い”感じを充分味わう
  6. 縮めた“ライン”を一気に脱力させて全身の力を抜く
  7. ラインが弛んで腰が弛んだことを確認する
  8. 普通の状態でさらに確認:残った部分や違う場所の違和感を探る

恐らくこれだけでも抽象的すぎて
わからないだろうと思います。
具体例を上げながら展開しながら次に書いてみます。

※これは私なりに“操体”まとめたものです。
ちょっと注意してほしいのは、
行っている人や教えてくれる人によって
少しづつ変化していることです。
他の表現の可能性があることに
注意を払って下さい。

方法から具体例にまで展開してみた

例 腰全体がだるく痛むAさん

という方がいると想定して書いててみます。

1楽になる姿勢を探す

“気持ち良さ”を感じるためには
意識を散らさないようにする必要があります。
楽な姿勢は大切です。

 

展開1
まずAさんに痛みが強くなる姿勢と
楽になる姿勢を探してもらいます。
すると、立っていると段々だるさ↑
前屈みで立ってるとだるい痛み↑
立位で腰を反らせるとジワーと種類の違う
“気持ち良い”感じの痛みが少し出現
おお向けに寝ると痛み感じなくなり楽↓
そこでAさんに仰向けになってもらいます。
2楽な姿勢から“気持ち良い”動きをさがす

様々な動きがありえますが、
仰向けで簡単に出来る膝の曲げ伸ばしを
中心にして動きを探ってみます。
もちろん、他の動きに可能性はあるのですが
簡単で単純な方が便利です。

展開2

Aさんに下肢を曲げ伸ばし、
腰を動かす等してもらい
“気持ち良く”感じる動きを
探してもらいます。

股関節・膝を曲げて足をお腹に引き付ける
→両太ももの後ろから膝ウラにかけて伸びるような感じがして“気持ち良い”感じ。
そこから軽く腰を反らすようにすると、腰~お尻~太もも裏を引っ張るような感じがして、
さらに“気持ち良い”感じがする。
突っ張る感じには“伸びをする”ような“気持ち良さ”がある

3動かすラインのイメージをしっかり固める

“操体”は腰の運動や膝の運動といった
バーツの運動ではなく全身をつなぐ動きです。
イメージを固めてつなげていきます。

展開3

Aさんの腰~太ももウラ~膝ウラに動かすと
“気持ち良い”ラインがあることが分かったので
膝ウラを指で探ってもらいます。
→膝ウラの内側の腱のワキにゴムのような感触の場所が有り、
圧すると痛“気持ち良い”感じがして腰の方へとつながるような感じがする。
腰は骨盤との境目あたりの下の方で腰椎のすぐ縁へとつながる感じ。
左右とも同じようなラインを感じるが右の方が強い感じがする

4見つけた“気持ち良い”ラインを“気持ち良く”動かす(縮める)

こここそが心臓部!!
力加減も角度も、呼吸も“気持ち良さ”に従う

展開4

Aさんに仰向けで膝を立てた姿勢になってもらい
息を吐きながら右膝を曲げて腰を軽く反らすようにしながら
“気持ち良い”ラインを縮めていきます。
力の入れ具合や曲げる角度や向きは
“気持ち良い”と感じる方向や加減に従います。
もし、この時、踵を床にひっかけたり
誰かフクラハギを押さえてもらい抵抗を
つけてもらった方が“気持ち良さ”を感じやすいなら
そのようにしてもらう

5ラインを縮めた状態で“気持ち良い”感じを充分味わう

“気持ち良さ”がラインから面や体積へと広がる

展開5

Aさんの反らした腰~曲げた膝を力で引き付けた状態で“気持ち良い”くらいの時間キープする

6縮めた“ライン”を一気に脱力させて全身の力を抜く

この脱力もとても大切!!

展開6

Aさんの反らした腰~曲げた膝から力を一気に抜き、
その力が抜ける感じを全身へいきわたらせる。
呼吸は力の抜け合わせて自然に吸う。
全身脱力させた状態の力の抜けた“気持ち良さ”をしばらく味わう

7ラインが弛んで腰が弛んだことを確認する

フィードバックをかけるのは“操体”だからこそ絶対必要!!

展開7

Aさんに右膝ウラを触って確認してもらうと腱内側にあった圧痛が弛んでいることがわかる、
さらに、腰・下肢・膝を動かして最初に確認した突っ張りやラインが弛んだことが確認してもらう

8普通の状態でさらに確認:残った部分や違う場所の違和感を探る

さらに違う姿勢や動きで確認

一つの痛みや緊張が解除されると
動きが大きくなったり血行がよくなったりして
それまで意識の表面からは隠されていた違和感や痛みが
表面化してくることが多い

これらをより分けながら確認しながら
段階を踏んで進めていくのが
操体法がうまくなるためのコツだと思う。

展開8
Aさんに立ち上がってもらい、腰の動きが楽になったことを確認してもらいます
左のお尻に突っ張るような痛みが現れてきたので、
再び、“気持ち良い”動きを探してもらう。“気持ち良い”動き→ラインを縮ませる→脱力して再度確認してもらう。
左お尻の痛みが取れて違和感がなくなる

まとめ

もう一度、方法?手順?

  1. 楽になる姿勢を探す
  2. 楽な姿勢から“気持ち良い”動きをさがす
  3. 動かすラインのイメージをしっかり固める
  4. 見つけた“気持ち良い”ラインを“気持ち良く”動かす(縮める)
  5. ラインを縮めた状態で“気持ち良い”感じを充分味わう
  6. 縮めた“ライン”を一気に脱力させて全身の力を抜く
  7. ラインが弛んで腰が弛んだことを確認する
  8. 普通の状態でさらに確認:残った部分や違う場所の違和感を探る

ポイントは

“気持ち良い”動きを探して
その“気持ち良い”動きを行い
“気持ち良い”動きを適当に持続させ
“気持ち良く”脱力させて
脱力状態を“気持ち良く”味わうことです。

徹頭徹尾、主観的な基準を頼りにして動くのです。

方法はいたって
シンプルで簡単なのです。
シンプルから来る応用範囲の広さも魅力です。

そのため、
寝転がって行おうが
立ったまま行おうが
物につかまって行おうが
本人の感覚に任されます。

力加減や角度、持続時間
つまり、どんな風に動くのかも
“本人”の感覚に任されます。
気付いたら本人もビックリの格好をしていたなんてことも起こります。

“気持ち良さ”の内実も
本人の主観なので知りようがありません。
ここも任されています。

私達が普段からよく知っている
“体操”や“整体”などとは
全く異なる異質な方法なのです。

操体の難しい所

けれども
“気持ち良さ”だけを求めてすれば
うまくいくという単純なものでもないのです。

一番の難所は

楽は“気持ち良い”ではない
痛くないは“気持ち良い”ではない
快楽は“気持ち良い”ではない

―ということではないでしょうか?

動くそのもの中に動きの“気持ち良さ”が
潜んでいてそれに出会いにいくような感じです。

朝起きぬけにする伸びのような感じ
子供が意味もなく走り出す感じ
・・・と言えばわかってもらえるでしょうか?

これも主観としか言えません。

また、何度もやっているうちに
今まで気づかなかったような
動きや感覚に突然出会うような時もあります。
結局の所、
何度も自分で探りながら
動きを繰り返していくうちに
成功と失敗の中から
自分なりの“気持ち良さ”が
立ち上がって来させる必要があるということです。

“操体”はやたらシンプルで簡単なクセに
やたらと奥が深くて難しいのです。

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