腰の自力操体

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仰向け腰操体左倒し右捻じり腰反らし力入れる図体操・整体・操体・ストレッチ
仰向け腰操体左倒し右捻じり腰反らし力入れる図

腰の自力操体

対象者

「からだ」で起こることを積極的に感じる用意のある人ならだれでも

目安にしやすい症状

腰痛、腰のはり、違和感
背中の痛み、こり、張り
太ももの突っ張り
フクラハギ~膝裏の突っ張り
違和感、など

やり方

仰向け腰の自力操体

場所

硬めのベッドや床

事前のセルフチェック

操体においてのセルフチェックは単にフィードバックをかけるということだけでなく、自分で目標をセッティングするという能動的な面が多分にあります。腰を触ったり動かしたりして目標となる腰の突っ張りやコリを出来るだけ具体的にイメージ出来るようにしましょう。

手順

  1. 膝を立てて仰向けに寝る(基本姿勢)
    仰向け膝立て(基本姿勢)
  2. 定めた目標につながる感じのする気持ち良いと感じる腰の動きを探す
    次の3組みの方向へそれぞれ動かして、“気持ち良い”動きの方向を各1つづつ選び出す

      • 前後の動き
        前:腰を反らすようにして床から浮かす

        後:お尻を少し浮かせて下半身を丸めこむように腰を丸くする

    仰向け腰丸めチェック

    • 左右の横倒し
      足で支えてお尻を浮かせ気味にして腰を横へ曲げる
    • 左右の捻り
      膝をそろえたまま立てた膝を横に倒す
      すると腰が捻れる
      仰向けで膝を立てて腰の捻じりをチェックする(左右)
  3. 気持ち良い感じのする3つの動きがわかったら、その3つの動きを同時に出来る姿勢をとる
    [反らし・左倒し・右捻り]を例にして以下に説明

    1. 左倒し
      基本姿勢から足先を左へよせる
      そこから足で腰を軽く浮かせて腰を左へ倒す
      仰向けで膝を立てて腰を左へ倒す
    2. 左倒しプラス右捻り
      上の左倒しの姿勢のまま、立てた膝を右へ倒す
      仰向け膝立+左倒し+右捻じり
    3. 左倒しプラス右捻りプラス反らし
      その左倒しプラス右捻りの姿勢をキープしたまま、床と背中にスキマが出来るように腰を反らす
      膝立仰向けから、左倒し+右捻じり+腰反らし
  4.  3の姿勢をしっかりキープしたまま腰を縦に縮める
    同時に足首・膝を深く曲げながら下肢全体を骨盤の下側からお腹の中へ引き込むようなイメージで縮める
    腰の自力操体
  5. 足首から下肢・骨盤そして腰・背中へ貫くような力が通る気持ち良さを感じながら、しばらく力をキープする
  6. 気持ち良さを充分味わったと感じたら脱力して全身の力を抜きダラーとする
    その「からだ」の感触をしばらく味わう

事後のセルフチェック

セッティングした目標の腰の突っ張りやコリの変化を確認してフィードバックをかける

コツ

“操体”のキモは

【動きの気持ち良さを感じながら、それに導かれながら動くこと】

です。

外から見て同じような動きに見えても
“操体”をする人がどんな風に行うかで
結果が全く異なってしまうからです。
同じように動いているように見えても
一人ひとりの「からだ」の中を
突き抜けていく力の道筋が全く違うからです。

気持ち良さ”は、
自分の「からだ」でキチンと動いていない所や
活性化されてない場所を指し示してくれます。

つまり、目的の所へ
力が通り抜けていくようにするためには
“気持ち良さ”にガイドされながら行う必要があるのです。

このことによって、
自分では気付いていなかった動きが自分の中から現れます。
そして、習慣の壁を破って「からだ」を活性化させるのです。

この“気持ち良さ”は、
「痛くない」とか「楽だ」といった感じとは少し違うと思います。
「痛いけど気持ち良い」とか
「楽だけど気持ちよくない」とかいう感じがあり
私は分けて考えるようにしています。

また、
お酒に酔って気持ち良いとかの“快楽”なんかとも違う感じがします。
受け身的な感じではなくもっと積極的に気持ち良さを作り出すような感じです。

子供が目的もなく走り出す感じに
似ているのではと思っています。

このことを突き詰めて言えば
“操体”は決まりきった型を持たないはずです。
正解を決めるのは本人の“気持ち良さ”と
やった後の結果のみです。

だから、
これが正しい動きだと思い込まないようにして
よくよく感じながらやってほしいのです。

注意点

基本的に“気持ち良さ”を感じて
それに応じた力加減でしていれば
まず危険な動きになることはないと思います。
しかしながら、
ズキズキ疼くような熱感を伴う炎症系の痛みを伴う時は
するにしても弱くやさしく行う方が良いように思います。

強い動きで刺激して炎症を促進してしまう可能性もあるからです。

説明

“気持ち良さ”にリードされるという“操体”の特徴を外せば
いわゆる普通の運動・体操と考えることも出来ます。
体の動きというごく普通の視点から
“操体”を見直せば、
基本的には怠けていた筋肉や神経を働かせることによって、
本来の機能を取り戻させる方法と言えると思います。

「からだ」を動かして「気血」を巡らせると
言い換えても良いかもしれません。

そしてこの“腰の自力操体”では、

【腰の動きで発生した力を
上下背骨沿いに力を
全身に送り届ける動き】

をテコにこれを行っていると言えます。

この観点から言えば

【目標に定めた場所に力が通ること】

が重要になるはずです。

この点を“気持ち良さ”にリードしてもらって
見つけてもらおうというのが“操体”だと
解釈しても良いのかもしれません。

付けたし

“腰の自力操体”は腰を中心とした
痛みや違和感をを弛める手段の一つとして
ここでは紹介しました。

実際、
当院でも腰痛を弛める方法としてよく使います。
けれども、
“腰の自力操体”はもっと広い範囲のものに
使うことが出来ます。

【腰の動きで発生した力を
上下背骨沿いに力を
全身に送り届ける動き】

なのですから、
送り届け先が首や腕だったりすれば
首や腕の痛みやコリを
弛めることが出来ることになります。

また、
背骨から前へ届けることが出来れば、
内臓にも影響を与えることが出来ます。
便秘や胃もたれなんかも
弛めることが出来るということです。

付録

この方法は
橋本敬三が提唱した“操体法”の一部です。
これには先行する民間療法があって
それをヒントに(マネして?)アレンジして作られたものだと
橋本敬三自身が著書の中で述べています。

橋本敬三のオリジナルな所は
“気持ち良さ”に導かれるという部分です。

それ以前の方法は名人が「からだ」の歪みや張りを診てとり
指示を出して細かく指示を出しながら行っていたものです。
いわゆる名人芸・職人技的なものでした。

それを、橋本敬三は
“気持ち良さ”という一つの基準に収れんさせて
一人ひとりが自分自身の感覚で行えるものへと
改変させたのです。

この改変はとても重要なものだと私には思えます。
なぜなら、曖昧にされたまま眠っていた
《自らの感覚に尋ねる》
という東洋医学のエッセンスが
自覚されて初めて明文化されたからです。

このことによって
東洋医学は一段新しい段階へと
歩を進めたのだと私は思うのです。

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